アステラス製薬が米オーデンテスを約3300億円で買収。買収の目的とは?

アステラス製薬が米オーデンテスを約3300億円で買収。買収の目的とは?

アステラス製薬が米オーデンテス・セラピューティクスを買収

アステラスが米製薬会社を買収

  • アステラス製薬が米オーデンテス・セラピューティクスを買収
  • オーデンテス・セラピューティクスは遺伝子治療薬開発に強みを持つ
  • アステラス製薬は遺伝子治療薬分野のリーディングポジション確立を狙う

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買収金額は約30億ドル

アステラス製薬によると、買収額は総額約30億ドル(約3200億円)で米国持株子会社アステラスUSホールディングスの100% 子会社である、Asilmar Acquisition Corp.を通じてオーデンス社の株式公開買い付けをおこなう予定です。 買収資金は、ブリッジファイナンスとして既存の融資枠を活用した資金調達を予定しています。

 

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1株60ドルでTOBを行う見込み

アステラス製薬の公式発表によると取得価格は1株60ドルと、オーデンテス社の2019年12月2日の終値(28.61ドル)の110%プレミアム(約2.1倍)となる予定です。 買い付けは米国の独占禁止法の承認と、オーデンテス社の発行済普通株式の50%超が応募されるなどの条件を満たしたのち、2020年の第1暦四半期までに完了させるとしています。

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オーデンテス・セラピューティクス

オーデンテス・セラピューティクス社(オーデンス社)は2012年に設立し、本社を米国カリフォルニア州サンフランシスコに構えています。希少神経筋疾患を対象にアデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子治療薬の開発に強みを持つバイオテクノロジー企業です。

2012年創業し2016年NASDAQ上場

オーデンテス社は2012年に創業後、2016年7月にNASDAQ(ナスダック)に上場しています。高度医療の研究経験豊富な経営陣と270名の従業員が所属し、うち220名が研究開発・製造スタッフとして従事しています。 アステラス製薬はオーデンテス社の卓越したケイパビリティによるシナジーで遺伝子治療の成功に期待をしている模様です。

遺伝子治療薬 AT132 を開発

オーデンテス社は卓越したケイパビリティで、AT132:XLMTM を対象にした第Ⅰ/Ⅱ相試験を進行中です。複雑な製造工程をシームレスにつなぐGMPに準拠した製造施設が、機動的な研究開発に不可欠であり、オーデンテス社は商業用製造に向け準備中です。 また、AAV技術の遺伝子治療約の効率的な開発を可能にする独自の薬物デザイン、製造及び開発力にも強みを持っています。

 

買収の目的は?

アステラス製薬は、「再生と視力の維持・回復」「がん免疫」「ASIMバイオロジー」「ミトコンドリアバイオロジー」の4つの分野をプライマリーフォーカスに位置付けてきました。同社は今後、遺伝子治療を5つ目のプライマリーフォーカスとする考えです。

買収目的は遺伝子治療分野での成長

アステラス製薬はオーデンテス社の遺伝子治療薬を成長分野と考え、この分野でのリーディングポジションを確立したい考えです。 オーデンテス社が持つ強みを最大化し、遺伝子治療薬の開発スピードを高め適切なタイミングで販売するためのノウハウを補完し、またそのための環境作りと企業内組織力を高めることを目的にしています。 また、アステラス製薬にとっても新たなセグメントを構築することで、アンメットニーズに応える高度医療薬品の開発を進めたい考えです。