ANAHDが通期連結業績予想を下方修正
1分で分かるニュースの要点
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ANAが2020年3月期通期連結業績予想を下方修正
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各国の入国制限や移動自粛で需要が激減
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政府支援どこまで続くか
営業利益が約60%減の600億円に
代表取締役社長 片野坂 真哉氏は、2020年10月に公表した2020年3月期の通期連結予想を下方修正すると発表しました。 営業利益は約60%(57.1%)減の600億円に留まり、経常利益は580億円57.7%減、純利益71.3%減となりました。経常利益も71.3%減の580億円と大幅に下方修正し、売上も前回予想の2兆9000億円から5.7%減の1兆9700億円に下方修正しました。
新型コロナウイルス感染拡大による自粛が影響した形に
政府が今月2日に発出した緊急事態宣言により自粛ムードが広がり、外出を控える人が増えたことで観光客が激減してことや各国の入国規制が収益を悪化させました。 ANAの発表によると今年2月の国際線利用実績は前年同期比25.2%減の56万9,469人、アジア、オーストラリア行きの便は同期比38.4%減に留まっています。また、国内線旅客機も同期比5.4%減の276万6,666人となっています。
先行きが見えない航空業界
新型コロナウイルス感染拡大の終息が見えない中、航空業界の業況は悪化を続けており事実上の休業状態といえるほど航空機の需要は減っています。今年4月は前月よりも更に減便が予想されておりこの状況は来月も続きそうです。
世界各国の入国制限で終息まで利用客の回復は難しく
4月20日現在日本人からの入国を禁止している国は183の国と地域で、日本では全ての国や地域の入国者や帰国者に14日間自宅などでの待機が命じられてします。 また、米中貿易摩擦の影響で中国経済の減退などもあり中国便の需要も減少しているほか、コロナ感染拡大や世界経済の影響で利用客の早期回復は今後も難しい状況が続きそうです。
人件費や駐機費などの固定費が重くのしかかる
航空業界は人件費や駐機費などの固定費が経費に掛かる割合が大きく、およそ売り上げの9割が固定費に消えるといわれています。 ANAの平時の売り上げは月間平均で約1000億円といわれています。航空業界は感染拡大前の業績が好調だったこともあり内部留保は潤沢といわれていますが、既に1ヶ月分の売り上げを失っているともいわれ資金繰りが厳しくなることは確実と思われます。
航空会社が倒産する可能性は?
世界中の航空会社が経営難に陥っている中、3月初旬にイギリスのフライビー(Flybe)が破産申請しています。ANAも感染拡大による経営悪化を見越して主要銀行から前倒しで資金調達をおこなっており、アメリカでも航空会社の支援を始めていますが既に数社は破綻状態にあるといわれています。
航空コンサル会社が5月末に多くが倒産すると警告
航空コンサルタント会社CAPAセンター・フォー・アビエーションは航空機の需要はかつてないほど落ち込んでおり、数社は事業停止や整理統合が必要になるだろうとし正常化する時期を予想するのは難しいと分析しています。 また、独立系航空アナリストのブレンダ・ソビエ氏は、銀行からの借り入れや航空機の売却などでは乗り切れないほで多くの航空会社の財務は傷んでいると指摘しています。
大手航空会社は資金調達に走るも調達を断られると倒産は不可避か
国際航空運送協会(IATA)のアレキサンドル・ドゥ・ジュニアック会長は、世界中の航空会社は倒産する可能性が高いと警告しています。 航空業界の試算によると2020年の売り上げは2520億ドル(約28兆円)まで減少するだろうとしており、全体で約200億ドルの資金ショートに陥るだろうとしています。大手航空会社が資金調達の道を絶たれるようなことになれば倒産は不可避であると予想されます。
政府の支援策が存続の鍵に
米政府は景気の刺激策の一環として航空会社に約600億ドルの支援を行うことを発表しており、その大半はボーイング社の救済に当てられる模様です。また米ユナイテッド航空では20億ドルの追加枠を設定したと報じられています。 シンガポール政府もテマセク ホールディングスの株式と転換社債を引き受けるほか、国内大手銀行のDBSHDから40億ドルを調達するとしており、各国で航空会社の支援が始まっています。