アメリカンイーグルが日本撤退。フォーエバー21に続き続々とアパレルが日本撤退する理由とは?

 

1分でわかるアメリカンイーグルの日本撤退

アメリカンイーグル撤退の経緯

  • 青山商事が2012年に表参道に初出店
  • 日本国内で33店舗を運営するも売り上げは不振
  • 契約期限を待たずして2019年中に事業撤退を発表
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アメリカンイーグルの日本撤退

(画像:Unsplash

アメリカンイーグルはアメリカのカジュアル系ファッションブランドで、全世界で929店舗を展開するブランドです。幅広い品揃えとリーズナブルな価格により、アメリカでは若者を中心に支持を得ています。日本でも2012年に1号店が出店以降、首都圏を中心に全33店舗を展開していました。 アメリカンイーグルの日本国内からの撤退を惜しむ声も少なくありません。店舗閉鎖・事業撤退までの流れについて詳しく見ていきます。

 

アメリカンイーグル(カジュアル服事業)は不振だった

アメリカの大手ファッションブランド「American Eagle Outfitters」を国内で手掛けた青山商事は、主に国内で「洋服の青山」や「THE SUIT CONPANY」などのビジネスウェア事業を手掛けていました。 昨今のビジネスウェア市場の低迷しているため、経営の多角化を狙ってカジュアルウェア事業に乗り出しました。しかし、業績は振るわず厳しい状況が続きました。 日本独自の様々な企画を投入したり、値下げに踏み切るなどの対策も講じられてきましたが、抜本的な売り上げの改善に繋がることはありませんでした。

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フランチャイズ契約が切れるのを前倒ししAOEに事業譲渡

青山商事と米AEO社とのフランチャイズ契約期間は当初2022年まで組まれていました。しかし、2019年6月にフランチャイズ契約満了を待たず、前倒しでAEO社に事業譲渡する方向性を進めていました。 当時は事業譲渡により日本国内における店舗はAEO社が引き継ぐことで協議を進めており、AEO社の幹部も日本から撤退はしないと発言していました。 結局、最終的な協議は不調に終わり、2019年11月に国内全店舗の撤退を発表することになりました。

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全店舗とECサイトは年内に閉鎖

青山商事は2019年末までに全店舗を閉鎖すると発表しています。2019年12月18日に横浜ジョイナス店の閉店を皮切りに、12月31日までに順次閉店を進めていく予定となっています。 またECサイトについても12月31日の午後9時をもっての営業停止が発表されています。 ただ青山商事は引き続きAEO社と事業譲渡の協議を続けていくとしており、AEO社が日本で新たな店舗を展開する可能性もゼロではありません。

アメリカンイーグルの日本撤退の理由

アメリカで絶大の人気を誇るカジュアルファッションブランドがなぜ日本で不振だったのか、なぜ国内全店舗を閉鎖しなければならない状況まで追い込まれたのか、その理由に迫ります。 そこには昨今のアパレル業界の実態と、日本独自のマーケットの特異性に原因があったといわれています。詳しく見ていきましょう。

 

青山商事による不採算事業の整理

青山商事は連結子会社であるイーグルリテイリングを設立し、2010年にアメリカのAEO社とアメリカンイーグルのフランチャイズ契約を締結しました。2012年に原宿・表参道に1号店を出店以降、国内で33店舗の出店を進めました。 ただ業績は決して好調とはいえない状況でした。ビジネスウェア事業の低迷が続く中、カジュアルウェア事業への多角化戦略を見越していましたが、本業であるビジネスウェア事業の低迷が想定以上に厳しく、他の事業を支えていく余裕がありませんでした。 屋台骨でもあるビジネスウェア事業の立て直しが迫られる中で、採算のとれていないカジュアルウェア事業を手放すことは、企業として妥当な判断であったといえます。

ビジネスウェア事業への集中

もともと青山商事は「洋服の青山」や「THE SUIT CONPANY」などを展開し、ビジネススーツなどの市場において約3割のシェアを誇る業界最大手の企業です。よってこの屋台骨ともいえるビジネスウェア事業を絶対に落とす訳にはいきません。 青山商事の2019年3月期の連結営業利益は前期比の29.0%減収と苦戦しており、その中でもビジネスウェア事業においては営業利益が29.1%減と大変厳しい状況を強いられています。 このような状況下においては、企業として本業以外の事業に手を広げる余裕は決して無いといえます。